NPO法人芸術家と子どもたち「児童養護施設等における被虐待児や障害児へのアートを通した自立支援活動」報告書について (2016/10/1)

(追記)2018年8月1日の時点。この友愛学園のワークショップは継続していますが、公益財団法人三菱財団からの助成は終了しています。また東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れた福祉とアートの助成は東京都を中心に増加傾向。むしろ福祉系とハイアートが助成枠を食い合うことのないように、2020年までの動向も気になるところです(サ)。

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FBで大変反響の大きな記事でしたのでこちらでもシェアします。
特定非営利活動法人「芸術家と子どもたち」で実施された児童養護施設ワークショップの報告書です。3月~7月にかけて友愛学園で実施された新井英夫さんのワークショップに、ササマユウコもサウンドスケープ・デザイン担当として参加させて頂きました。昨年12月から新井さんと隔月で実施している「キクミミ研究会〜身体と音の即興的対話を考える」でフィードバックを重ねつつ、今回は子どもたちが他者の「音」をきき合いながら、身体が自然に「音風景」となるような場を目指していきました。最後の発表(公開ワークショップ)では、施設の中庭も使って、室内と野外が音でつながるような奥行のある空間構成も実現しました(不思議な静けさと美しさのある世界でした!)。個人情報が重視される場の性質上、ワークショップの様子を外側にお伝えする機会が少ないのが残念ですが、いわゆる「作品」とは違う、障害をもつ子どもたちとの身体表現の場に人知れず生まれては消えていく芸術の力に、もちろん子どもたちの力の大きさにあらためて気づかされました。また、そこを積極的に担っている新井さんのような芸術家たちの仕事の「意味」を、まずは芸術の内側で、そして社会で考えることは、ある種の’優生思想’に陥りがちな今日の「芸術」を問い直す場として、また相模原やまゆり園事件の悲劇を二度と繰り返さないためにも重要だと思いました。子どもたちが暮らす「施設」は隔離された「特別な場所」ではなく、私たちの日常の延長線上にあるという意識の変化。企業メセナや公的助成制度が対象とする「芸術」が、どうしても富裕層向けハイアートや、クラシック&アカデミックな場に偏りがちだった中で、今回のように能力主義や成果主義とは「別の価値観」をもつ社会福祉の現場にまで広がると、これからの芸術や社会そのものが、もっと自由に息が出来るのではないかと小さな希望も感じました。もちろん今回のワークショップは新井さんの柔らかな芸術性、何より経験値の高さが必要だったことは言うまでもありません。

今回は貴重な場の報告がシェアされたので、こちらでもご案内いたします。(ササマユウコ記)

 

///////////以下は「芸術家と子どもたち」からの転送///////////////

当団体では、児童養護施設におけるワークショップの取り組みを続けており、この度、活動を振り返る記録・事業紹介パンフレットを発行しました。

2015年12月から2016年7月まで、「公益財団法人三菱財団」の助成を受けて、都内児童養護施設2か所と障害児入所施設1か所で実施したワークショップの記録です。アーティストのインタビューや、参加した施設の職員の方々の感想を交えながら、児童養護施設等におけるアーティスト・ワークショップの意味を考えます。

[記録・事業紹介パンフレットダウンロードページ]

児童養護施設等における被虐待児や障害児へのアートを通した自立支援活動

~アーティスト・ワークショップの記録・事業紹介~

http://www.children-art.net/jidouyougo_report2016/

※本事業は、公益財団法人三菱財団の平成27年度社会福祉事業・研究助成を受

けて実施しました。

※記録冊子は、関係者への配布を目的とし、販売はしておりません。