【おすすめ】「うえののそこから はじまり、はじまり」荒木珠奈展・東京都美術館(7/22より)

きおくのそこのためのドローイング
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【この夏おすすめの展覧会】

うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈展

 小さな版画(平面)と大きなインスタレーション(立体)を自由に往来する美術家・荒木珠奈さん。いずれの作品も特別ではない素材で、身近な「手の仕事」の中から生まれています。
 現在N.Y.在住の彼女(の作品)に初めて出会ったのはもう20年以上前ですが、創作に対する姿勢、何気ない日常の中から「驚きの世界」につづく扉を発見するまなざしは本当に変わらないと思います。昨今の資本主義のロジックが透けて見えるような大きな現代アートとは一線を画し、ひとりの女性の、人間の手から生まれるミクロとマクロのダイナミズムの魅力。10代から訪れているメキシコ美術にも影響を受けたその世界観には、生きることへの肯定感、唯一無二の不思議な物語を感じます。

 初の大規模な回顧展ですが、アートの原初に立ち返るような、子どもから大人までが楽しめる珠奈ワールド全開になりそうで楽しみにしています。うちにある作品もおめかしして展示予定なので、晴れ舞台を観に行きます。


執筆:ササマユウコ
2000年代の作曲活動を経て、3.11以降は「音楽、サウンドスケープ、社会福祉」の実践研究。日本音楽教育学会、日本音楽即興学会、アートミーツケア学会(理事)。