昨年5月からちょうど1年になりますが、上智大学グローバル・コンサーン研究所で開催された哲学カフェ(テーマ:人権)に参加しました。同大学の哲学科長・寺田俊郎先生をサポート役に、哲学科の学生をはじめ、カフェ・フィロ等に通う外部の大人たちも含めた総勢20名余りの参加となりました。
もともとは西洋から’輸入’され、この国では人それぞれに思い描くイメージや概念もどこか曖昧なままとも言える「人権」という’言葉’について、とにかく率直に考えや意見を出し合ってみる。法学や社会学の視点ではなく、あくまで「哲学」に軸足を置くことが、社会的立場や世代、国境も越えた普遍的な対話を可能にしていると思いました。また他者の考えを知ることで、自身の思い込みに気づき、視点が修正されていくこともあります。しかしそれはあくまで「自発的」に行われることで、誰かによって強制的に誘導されるものであってはなりません。
何より日ごろ何となく使っている、目にしている’言葉’を「ひらく」場を持つことの重要性を感じました。そこに正解は無いのですが、大切なのは正誤の判断ではなく’問い続ける’こと。それは「生きる」ことに積極的に向き合う姿勢を生み出していくと感じます。ほぼ初対面の人たちが自由に、忌憚なく、安心して意見交換ができる場の必要性もあらためて実感します。「哲学的」であることが許されることで、はじめて自由になる言葉もあると思いました。決して考えることをあきらめず、他者の言葉に耳を傾け、真摯に自分の内側と向き合う時間。今の社会にこそ、こういう場がもっと必要だと感じています。
・哲学カフェは、哲学的な専門知識を必要としない誰もが参加可能の社会にひらかれた場です。ただ理想としては、サポーター役に哲学者をひとり置くことで、そこから「哲学とは何か」という学びの扉もひらかれていきます。難しい概念を駆使した言葉の操作ではなく、自分自身の人生をより豊かに、やわらかに生き抜くための力として。最近では徐々に小~高等学校の授業でも取り入れ始めていますが、自分の言葉で話し/考える「哲学カフェ」がもっと身近な場となるように、第二期のコネクトでもさらに力を入れていきたいと思っています。
◎哲学カフェの3つのルール
①人の話しをよく聴くこと⇒哲学的思考を養う
②自分の言葉で話すこと。(哲学者の考え等を引用する時は、他者にわかるように説明すること)。
③自分の考えは変わることがあるということを受け入れること。