去る3月28日(水)にユニコムプラザさがみはらにて、「空耳図書館のはるやすみ④ちょっと不思議な舌切り雀の世界」(平成29年度子どもゆめ基金助成事業・読書活動)を実施しました。
今年度は俳優の山内健司さん(劇団青年団所属・桜美林大学講師等)をお迎えして、平田オリザ氏が山内さんのために書き下ろしたオリジナルの『舌切り雀』のお芝居を、哲学対話型で鑑賞し、物語の世界にある「なぜ?」「どうして?」を自由に言葉にして考えてみました。
今回、「空耳図書館」の準備を進める中でこの民話が徐々に社会から消えつつあることを実感しました。例えば、背中に火をつける「カチカチ山」もなかなか物騒な内容だと思いますが、どうやらこの「舌切り」というタイトルに原因があるようです。不条理や残酷さが潜んでいるのも民話の魅力のひとつだと思いますが、時代の変化も感じました。
ただしこの物語の世界を対話で探っていくと、雀の舌を切ってしまったおばあさんの一筋縄ではいかない心情や、「やさしい」はずのおじいさんが本当に「良い人」かどうか、人と一緒に暮らしたスズメは他のスズメたちと馴染めたのか?など、この小さな物語から思いもよらなかった人間社会の「割り切れなさ」や「奥深さ」を感じる瞬間もありました。
この日はちょうど会場隣のキッチンで「こども食堂PECO」さんが開催されました。食堂より1時間早く、この物語の世界を知るために参加してくれた子どもたちも、自由にたくさんおしゃべりしてくれました。「学校」とは違う、正解のないちいさな「劇場」(のような空間)。本や演劇から日常の中にある「哲学」や「芸術」の小さな入り口に気づいてくれたらと思いました。そしてご多忙の中、大切な作品を熱演して下さった山内さん、ご協力ありがとうございました。
またどこかでチャレンジしてみたいプログラムになりました。
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