アートと福祉の交差点・カプカプ新井一座だより(2023夏至、世界ALSデー)

スケッチ(C)Takuya Kohiyama/小日山拓也
スケッチ(C)Takuya Kohiyama/小日山拓也

 先週6月21日夏至の日に、久しぶりにカプカプでのワークショップ「音とカラダのジッケン室」が実施されました。

 現在ALSを罹患している体奏家・新井英夫さんの今後の”スタイル”もジッケンしようと、今回は新井さんだけがオンライン、カプカプ新井一座(板坂記代子、ササマユウコ、小日山拓也)は現地集合となりました。その間をつなぐメディアとして、カプカプの素晴らしいテクニカルチーム(千葉さん、飯塚さん)、そしてアナログ力全開の「アライちゃん人形」が登場しました。団地のピロティや商店街の空きスペースが自由に使えるのは、今年で開店25周年となるカプカプが積み重ねてきた地域コミュニティだからこそ。この日は、秋のカプカプ祭りを見据えたなんちゃって炊飯器ガムラン舞踊体験が繰り広げられました。
 個人的には、カプカプ新井一座にはいつもフルクサスやハプニングやダダイズム、そして新井さんが大事にしている「あそび」のエッセンスを忘れないように、この8年間臨んできました(専門のサウンドスケープ思想は言うまでもなく)。新井さんの精神は身体が変化してもやっぱり変わらないし、それはダンスや美術や音楽や福祉がひとつにあった洞窟時代の人間たちとも変わらないだろうとも思うのです。そこにはいつも最新テクノロジー(火とか)もあっただろうし、基本的にはこの日のように「なんだかわからないけれどオモシロイからやってみよう!」の積み重ねだったと思います。そこからアートや福祉の概念も立ち現れていったでしょう。それがつまり「生きる」ことでもある。
 この日も、新井さんの「声」がカプカプーズの想像力を触発し、いつも以上に唯一無二の場を生みだしていました。そして偶然にも、この日は世界ALSデーでもあったのでした。(サ)


新井さん宅のPC画面。カプカプ側には新井さんの顔をアップにしたIpadがありました。
新井さん宅のPC画面。カプカプ側には新井さんの顔をアップにしたIpadがありました。

捕捉:左の写真は、この日の新井さんのPC画面です。カプカプと自宅のPCをZOOMでつなぎ、新井さん宅には全体の画面切り替えや音響ミキサー役として、サポーター(石川清隆さん)に同席して頂きました。
 例えば病によって障害を抱えたとしても、サポートする人やテクノロジーを駆使することで就労(社会参画)も可能の時代となりました。周囲も新井さんの身体変化に合わせて柔らかに対応できるのは、そこにアートとケアの意識があるからです。その力をあらためて実感する一日でもありました。


※募集は終了しています。8月23日よりスタート!
〇今年度の「舞台芸術と福祉をつなぐファシリテーター養成講座」(かながわ芸術文化祭マグカル事業)の募集が始まりました。カプカプ×新井一座の極意を体験から学んでみませんか?

前年度の様子はこちらから→
今年度の募集要項はこちらからご覧ください。


〇クラウド・ファウンディングのご案内 ※終了しました
 現在、ARDA代表・三ツ木紀英さんを世話人に、7月17日(海の日)に体奏家・新井英夫さんと彫刻家・安藤榮作さんによる素敵なイベントが予定されています。目標金額には2日で達成しましたが、新井さんが活動を続けるための補助機器(高精度の視線入力装置等)の購入費の一部充当を目指したストレッチゴールが設けられました。

 締め切りまでまだ1か月ありますので、是非リンクをご一読の上、応援よろしくお願いいたします。