【カプカプ日和】クリスマスリースづくり:ミロコマチコさん

工房で黙々と手を動かすカプ―ズたち。
工房で黙々と手を動かすカプ―ズたち。

 あっという間に2024年最後の《カプカプ日和》となりますが、今回はミロコマチコさん担当のワークショップにお邪魔しました。実はミロコワークにお邪魔するのは9年間で初めて!賑やかな新井一座の時間とまた違って、黙々と手仕事に集中するカプーズの姿が何とも新鮮でした。
 〈オト〉〈モノ〉〈カラダ〉〈コトバ〉それぞれのメディアから引き出される個性の違いが興味深いです。身体では恥ずかしそうでも手作業は得意な人、色を塗るのは苦手だけど楽器で音を出すのは好きな人。両方とも得意な人、、本当にカプーズにはいくつもの引き出しがあるなと実感します。

枝のかたちに逆らわず、曼荼羅のようなリースも。
枝のかたちに逆らわず、曼荼羅のようなリースも。

 今回は事前にスタッフさんが集めておいた《自然の恵み》を使ったクリスマスリース作りでした。よくよく見渡せばカプカプの周囲には豊かな自然がありますし、お店のある団地の壁から剥がした蔦も使って、年末の掃除と一石二鳥なのでした。午後からはカプカプ川和のメンバーもはじめて合流して、一気に華やかな年末ムードになりました。

 最後には店頭に飾られた、のびのびと自由なかたちの〈ありのままの〉リースたちを眺めていて、いかにも〈カプカプらしい〉と思うのでした。考えてみれば、リースの〈そもそものかたち〉は枝の個性を活かしたこちらに近いはず。最初に手元にあった蔦や枝を丸めて〈飾ろう〉と思いついた人の〈アート〉にも思いを馳せてみます。そして整った同心円をリースの〈正解〉だと思い込んでいた、商品化されたリースからは見えてこない自然の豊かさにも気づくのでした。

 

 2024年の春に船出したシン・カプカプ。無事に穏やかな年末を見届けて、どこかホッとしている自分がいました。来年はさらにスタッフの皆さんとアーティスト全員〈ミロコマチコ、アサダワタル、新井英夫、板坂記代子、小日山拓也、若鍋久美子、ササマユウコ〉が知恵を出し合って響き合うような、新たな風景も見えてきました。カプカプだからこそ〈ワークショップ〉のその先へ!私も楽しみにしています。


執筆:ササマユウコ(音楽家・芸術教育デザイン室コネクト代表)

3.11以降、音楽・サウンドスケープ・社会福祉の実践研究を続けている。アートミーツケア学会理事、2023年度日本音楽即興学会奨励賞〈関係性の音楽〉、聾CODA聴対話の時間など。2015年からALS罹患中の体奏家・新井英夫のカプカプワークショップ(新井一座)に音担当で参加。