コロナの時代に新しく求められる音楽教育のヒントになれば幸いです。
赤ちゃんは言葉を発するまでに1年間、周囲の世界をじっくり受け止めます。きく/みる/さわる/かぐ/味わう、いわゆる「5感」という境界線を引かず全身全霊で世界とつながること。音楽教育もいきなり聴覚だけ、音だけ、楽器や歌に向き合うのではなく、まずは全身を世界にひらく体験を重ねてもよいと思います。哲学的思考へとつながる対話型鑑賞も可能性があるでしょう。その時間が内と外をつなぎ、結果的に実際に音をだす「音楽」への近道ともなります。教室内で一斉に吹かれる鍵ハモのサウンドスケープは、はたしてオンガクだったか。音楽とは何か、この機会に考える時間も大切です。
代表ササマユウコは弘前大学今田研究室や自治体生涯学習の実践から日本音楽教育学会発行『音楽教育実践ジャーナル』『音楽教育学』等にも音のワークショップの可能性について寄稿しています(査読あり。執筆名・今井裕子)。コネクトでは主に「空耳図書館のおんがくしつ」「即興カフェ」を通して新しいオンガクのかたちを提案しています。写真の本は推薦図書として毎回ご紹介していますので、どうぞご参照ください。
(写真左上から時計回り)
『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン 遠野恵子訳 新潮社1996
『音楽の根源にあるもの』小泉文夫著 平凡者ライブラリー 1994
『波の記譜法 環境音楽とはなにか』芦川聡遺稿集ほか 小川博司ほか 時事通信社1986
『音さがし本 リトル・サウンド・エデュケーション』R.M.シェーファー/今田匡彦 春秋社増補版2008
『世界の調律 サウンドスケープとはなにか』R.M.シェーファー著 鳥越けい子ほか訳 平凡社1986
『聴くことの力 臨床哲学試論』鷲田清一著 TBSブリタニカ1999
『親のための新しい音楽の教科書』若尾裕 2014 サボテン書房
『グレープフルーツ・ジュース』オノ・ヨーコ著 南風椎訳 講談社1993
『サイレンス』ジョン・ケージ著 柿沼敏江訳 水声社 1996