「芸術未来研究場」展@東京藝術大学大学美術館

 卒論の追い込み中の娘とともに、藝大美術館で26日まで開催中の「芸術未来研究場」展を覗いてみました。「芸術が未来に効く!東京藝術大学は未来の社会のことをいま、本気で考えています!」と謳われたパンフレットと共に、「芸術未来研究場」で進められている産学官連携プロジェクトが多角的な視座から展示されていました。個人的には「クリエイティブ・アーカイブ領域」に展示された「聞こえない音をきく」に目が留まりましたが、別会場に参考文献として『音さがしの本』が展示されていたので、やはり着想はサウンド・エデュケーションだと解ります。「センサリー」に着目したプロジェクトも興味深かったです。

 「ケアとアート」の事例に関しては、まさに奈良のたんぽぽの家やアートミーツケア学会が長年提示してきた視座ともシンクロしています。正直言えば「後発」の印象ですが、「あの藝大」がケアを提示することに社会的な意義があるはずです。何よりも今の社会の空気、時代の変化を感じます。未来の芸術には社会とコミットする/逃避する、このアンビバレンスの調和が求められるのでしょう。

 学長の日比野克彦さん、未来創造継承センター長の毛利さんは80年代のアートシーンを牽引していたセゾン文化にもつながりますが(私の就職先だった)、先日の下北沢で遭遇したマガジンハウスの福祉の展示に続いて、この展示もあの頃からの「未来」です。まさに2012年度小泉文夫賞を受賞しているシェーファーが70年代に提示した「音楽、サウンドスケープ、社会福祉」の道筋。

〇公式サイト
https://www.geijyutsumiraikenkyujou2023.geidai.ac.jp/


執筆:ササマユウコ音楽家・芸術教育デザイン室CONNECT/コネクト代表)

1964年東京生まれ。都立国立高校、上智大学文学部卒。3歳からピアノを始め、学生時代に作曲活動開始。セゾン文化メディア専門職として社会人と並走して音楽活動を継続する。2000年代にCD6作品を発表し、2001年東日本大震災を機に「音楽、サウンドスケープ、社会福祉」の実践研究。弘前大学今田匡彦研究室社会人研究(2011~2013)、まちだ市民大学講座企画運営、2014年コネクト設立(相模原市立市民・大学交流センター内)。アートミーツケア学会理事、日本音楽教育学会、日本音楽即興学会。