カテゴリ:コネクト通信11月号



2023/11/27
オブジェクトシアターを掲げるラオスの劇団カオニャオと、人形劇をメインとする日本のデフ・パペットシアターが、昨今は福祉×ダンスのワークショップにも尽力する白神ももこを演出に迎え、次作につながる「ワークインプログレス」として成果発表を行いました(実施日:2023年11月26日 場所:神楽坂セッションハウス)。...
2023/11/25
 卒論の追い込み中の娘とともに、藝大美術館で26日まで開催中の「芸術未来研究場」展を覗いてみました。「芸術が未来に効く!東京藝術大学は未来の社会のことをいま、本気で考えています!」と謳われたパンフレットと共に、「芸術未来研究場」で進められている産学官連携プロジェクトが多角的な視座から展示されていました。個人的には「クリエイティブ・アーカイブ領域」に展示された「聞こえない音をきく」に目が留まりましたが、別会場に参考文献として『音さがしの本』が展示されていたので、やはり着想はサウンド・エデュケーションだと解ります。「センサリー」に着目したプロジェクトも興味深かったです。  「ケアとアート」の事例に関しては、まさに奈良のたんぽぽの家やアートミーツケア学会が長年提示してきた視座ともシンクロしています。正直言えば「後発」の印象ですが、「あの藝大」がケアを提示することに社会的な意義があるはずです。何よりも今の社会の空気、時代の変化を感じます。未来の芸術には社会とコミットする/逃避する、このアンビバレンスの調和が求められるのでしょう。  学長の日比野克彦さん、未来創造継承センター長の毛利さんは80年代のアートシーンを牽引していたセゾン文化にもつながりますが(私の就職先だった)、先日の下北沢で遭遇したマガジンハウスの福祉の展示に続いて、この展示もあの頃からの「未来」です。まさに2012年度小泉文夫賞を受賞しているシェーファーが70年代に提示した「音楽、サウンドスケープ、社会福祉」の道筋。 〇公式サイト https://www.geijyutsumiraikenkyujou2023.geidai.ac.jp/
2022/11/14
第1回オンライン講座の記録はこちら→ 実施日:2022年11月10日(木) 第2回のテーマ:はんなり、やんわり、ゆっくり、声、呼吸 場所:団地のピロティ 【はじめに】当初は雨が心配されましたが天候にも恵まれ、先週10日からいよいよカプカプ現地での実践講座が始まりました。...
2022/11/09
 両国に来ると少し背筋が伸びるのは、この街の足元には沢山の命が眠っているからかもしれない。回向院の無縁仏に手を合わせ、明暦の大火、関東大震災、東京大空襲に思いを馳せる。隅田川に出ると高速道路がつらぬくビル群の中で、この川の上だけは空が広いことを実感する。川辺にも戦争、疫病、水害、地震、、名も知らぬ市井の人たちを悼む大きな石碑が立てられている。祈りの街だなと思う。  神楽坂育ちの娘は子どもの頃から両国が好きで、いつか住みたいと話していたことを思い出す。彼女の曾祖母は下町大空襲の犠牲になっている。立ち寄った両国花火資料館で、明暦の大火では江戸に暮らす人の5分の1(10万人)が犠牲になったときいた。  娘と一緒に川の水面を眺めていると、彼女が一匹の水クラゲが漂っているのを見つけた。時おり訪れる江の島駅の水槽で泳ぐあの白い海月である。頭には幸福のシンボル「四葉のクローバー」のような模様がついている。ふわりふわりと白い布が漂うように川の中をのぼっていく。 「海月は脳みそもないし、心臓がないし、死ぬと溶けてしまう。理想だよね」 と娘が言う。海月はなぜこの世界に存在しているのだろう。かたちだけでなく、地上のキノコの存在ともどこか似ている。何よりここは海ではなく川だ。海から川をのぼり、この海月はどこに向かっているのだろう。この川に散った無数の魂のひとつだろうか。  水と火と光と命が溶け合っていく。  メーテルリンクのクリスマス童話/戯曲『青い鳥』は1908年にモスクワ芸術座で初演され、翌年の1909年に出版された。国内ではチルチル&ミチルを日本人の「近雄(チカオ)と美知子(ミチコ)」に置き換え、1911年には子ども向けに出版されている。そして現在までに100点以上の完訳、リメイク、絵本等の『青い鳥』が存在するという。私が7歳(1971年)の時に夏休みの読書感想文の宿題として読んだ『青い鳥』は戯曲では無く、子ども向けのノベライズだった。しかし私はこの物語に夢中になり、まさにチルチルとミチルと一緒に「青い鳥」を探しに出かけた「ほんとうのはなし」として学校に”読書感想文”を提出した。言葉遣いも口語で、ほとんど作文の体をなしていないにも関わらず(母には書き直しを命じられたが)担任の先生が面白がって下さり、どこかの賞まで頂いてしまった。子どもの感性をそのまま受け止めてくれた昭和の大らかな国語教育の記憶である。ちなみに『青い鳥』の本は、ノーベル文学賞作家でもあるメーテルリンクの故郷ベルギー、晩年を過ごしたフランスでもほとんど知られていないというのが興味深い。  前置きが大変長くなってしまったが、この読書感想文からちょうど半世紀の時が過ぎ、私はふたたび『青い鳥』の感想文を書こうとしている。今回は読書ではなく舞台感想文である。
2022/11/01
 コネクトでも2014年の施設見学以来、たびたびご紹介している奈良・たんぽぽの家さんが素敵な展覧会を開催します。 ・・・・・以下、たんぽぽの家から。 展覧会「ニュートラ展in 東京」 11月3日(木・祝)〜6日(日)まで、ニュートラの実験と実践を紹介する展覧会を開催します!会場は渋谷、山田遊さん率いるmethodの本拠地、(PLACE)by methodおよびCIRCLEです。...
2021/11/13
9月18日に開催された東京芸術劇場社会共生セミナー『もし世界中の人がろう者だったら、どんなかたちの音楽が生まれていた?』(登壇:牧原依里、雫境、ササマユウコ)の冒頭で、ササマユウコのレクチャー「サウンドスケープとは何か」を要約しました。今回は、8月に亡くなったシェーファーの知覚に焦点をあてた新しい視点を加えてお話しましたので、ろう者・聴者、また音楽関係者に限らず「生きるための知恵」として発明されたサウンドスケープという言葉の意味について考える機会にして頂ければ幸いです。 ●こちらからご一読ください。 ●本文内容についてのお問合せもこちらからお気軽にどうぞ。
2021/11/01
 昨年から1年の延期を経て、10月初旬から約1か月に渡ってワルシャワで開催されたショパン国際ピアノコンクール。日本国内からの本選出場者は14名となり、その中で反田恭平さん(2位)、小林愛実さん(4位)がW受賞、人気Youtuber角野隼斗さんが三次予選まで進出するなど話題になりました。また1年延期されたことで各国出場者も魅力的なショパンを提示し、結果的に大変充実したコンクールとなりました。  さらに今回はコロナ禍での開催ということで、7月の予備予選からすべてのコンテスタントたちの演奏がYoutubeで無料配信されるというパラダイムシフトがありました。これによって普段はクラシック音楽を聴かない層にも視聴者を広げ、コンクールそのものが世界各国で注目を集めました。  今回コネクトでは第二次予選から全てのコンテスタントの演奏をなるべくライブで視聴し考察をしてみました。筆者(音楽家・ササマユウコ)は音大卒ではありませんが、3歳からピアノをはじめ、10歳で専門教育に移り、11歳の時にショパンで出場した某コンクールで最高位を頂いた経験があります。また20代の頃にヤマハの『ピアノの本』編集部にも所属しました。クラシックはもはや門外漢ですので演奏そのものの批評は避けますが、今回は「耳の哲学」の「問い」としてコンクールそのものを「きく」こと、そして考えてみようと思いました。  三次予選までに独自の基準で13名を選出し、そのうちの9名がファイナリストに、結果的に8名全員が入賞者となりました(予想順位は若干違いました)。今回の審査基準と自分の感覚にブレが少ないと感じましたので、ここで選ばれた「オンガク」とは何だったのか、ショパンを演奏するとは、ショパンとは何なのかをサウンドスケープの視点、耳の哲学から考察し紐解いてみました。  ピアノを弾く人/弾かない人、音楽や芸術を越えて、生きることを考える内容だと感じていますので、是非ご一読頂けますと幸いです。 ●ショパン国際ピアノコンクール2021 サウンドスケープの視点、耳の哲学からの考察です。 どうぞこちらからご覧ください→
2020/11/28
 3月から延期になっていた『さいたま国際芸術祭』が無事に開催された。最終日近く、大学で同じ学芸員過程を履修している友人と訪れることが出来た。友人と一緒にどこかへ行くのは初めてだった。
2020/11/24
 多様なフリンジ企画、エクスカーションとともに先週末11月21日(土)、22日(日)にオンラインで開催されたアートミーツケア学会オンラインに、コネクト代表ササマユウコが登壇しました。この学会では聾CODA聴プロジェクトに対して、2017年、2019年度の公募助成を頂いています。...
2020/11/12
 先週はふたつの地域コミュニティに「音/サウンドスケープ」で参加しました。 ひとつは9月のオンライン祭以来、リアル参加は8か月ぶりとなった横浜旭区光が丘団地にある福祉作業所カプカプ(新井英夫&板坂記代子身体ワークショップ)、そして港区×慶応義塾大学が運営する地域コミュニティ「芝の家」の地域祭りです。...

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