カテゴリ:空耳図書館



2022/06/22
『夏至のオンガクをきく』ということ(空耳図書館 Director's Note:ササマユウコ)...
2021/04/21
 今から98年前の大正13年(1924年)4月20日に宮沢賢治は生前唯一の詩集『春と修羅』を自費で世に放ちました。大正11年4月8日「俺はひとりの修羅なのだ」と始まるひとりの青年の心象スケッチは22ヶ月を経て、まるで青春期が終わるように「わたくしといふ現象は」と達観するまでの記録です。時系列的には「あとがき」でもある「序」の映像版は3月11日に公開しましたが、今回はそのライブ版として、詩集『春と修羅』一冊を丸ごと朗読・身体・サウンドスケープの記録として残しました。  本来、こういった内部資料映像は公開しないものですが、この詩集を読み解くキーワードでもある「記録」に立ち返ったとき、公開を前提しない即興の中にこそ賢治が詩未満と語る「心象スケッチ」のような未完の輝きが見つかることに気づきます。芸術家たちは、この原石を丹念に磨いて時には「作品」にすることもあります。しかし後に何も残らないからこそ、一期一会の即興に尊さを感じることもあります。「記録」とは何か。自分が確かにここに存在した、生きたことの証かもしれません。  本当は3時間近くあったのですが(苦笑)、8分にまとめてみました。逆にいえば上澄みすら掬い取れていませんが、どうぞ想像力を働かせてお楽しみください。このプロジェクトは賢治に導かれるように次なるステップに進んでいます。コロナの先行きもわかりませんが、願わくば『空耳図書館のなつやすみ』で皆さんに直接この時間と空間を体験して頂けたらと思っています。実験音楽だけでなく、コミュニティミュージックや音楽療法、世代やジャンルを越えたワークショップの種も見つかるはずです。 どうぞ引き続き、ご注目ください!生きることは即興なり、それはまるでヘタクソな音楽のように。 ○参加メンバー紹介→ ○この映像は『コロナ時代の新しい音楽のかたちを思考実験する②空耳図書館の活動を中心に』(令和2年文化庁文化芸術活動の継続支援事業 ササマユウコの音楽活動)の記録です。 #空耳耳図書館コレクティブ #空耳耳図書館 #宮沢賢治 #春と修羅 #朗読 #即興 #コミュニティミュージック #サウンドスケープ #ダクソフォン #ピアノ #ダンス
 突然はじまったコロナ時代、東日本大震災から10年の節目になる空耳図書館のはるやすみ2021では、岩手県出身の宮沢賢治が生前唯一残した詩集『春と修羅』の「序」を取り上げた。この詩は難解と言われるが、読むには少しコツがあるのだと思う。なぜなら「序章」とは言え、本編「春と修羅」を書いた日からの約2年(22ヵ月)を「過去」と振り返った「あとがき」でもあるからだ。謎めいた言葉は、すでに書かれた詩のあちこちに散りばめられた”お気に入りのフレーズ”なのかもしれない。それらを直感的に再編集した”言葉の音楽”ともいえる。「わたくしといふ現象は」と自らを突き放す宮沢賢治。ここまでの22ヵ月に最愛の妹をスペイン風邪で亡くし、憧れの東京は関東大震災で焼失している。この厳しい現実の中で詩が書けなくなるほどの喪失感を体験し、やっと抜け出した先にこの言葉が生まれたのだ。それは20代後半のひとりの青年の青春の終わりだったともいえる。100年前の賢治の青い心象は、先が見えないコロナ時代を生きる今の私たちにも深く響鳴する。  「ちょっと不思議な読書会 空耳図書館のはるやすみ」はもともと2015年の春に、子どもゆめ基金助成事業・読書活動としてスタートした(講師:aotenjo/外山晴菜、橋本知久)。その後、青年団の山内健司ひとり人形芝居『舌切り雀』哲学対話型鑑賞会、芝の家・音あそび実験室主宰のコヒロコタロウとの「おんがくしつ」等、さまざまなアーティストを巻き込んで春分や冬至など暦と連動しながら、本や絵本を切り口にした「芸術への扉」をつくってきた。  2021年は緊急事態宣言発令とも重なってリアル開催は難しいと判断し、代表ササマユウコ個人申請の文化庁文化芸術活動の活動継続支援事業(音楽分野)の一環で、対象を子どもに限らず映像で発信した。撮影は2020年夏の東京アートにエールを!「空耳散歩」同様、古いiPhone一台で「記録」(”記録”は序の中のキーワードのひとつでもある)。実際に都内公園は緊急事態宣言で「撮影」は禁止、ただし少人数の野外活動をiPhoneで「記録」する程度ならOKという状態だった。「音楽作品」としてまず音の構成を考え、撮影当日はMovement担当の新井英夫が即興的に生み出した動きの断片を記録し、最終的に音/朗読に合わせて断片を再編集するかたちをとっている。その手法は映像ロジックではなく、サウンドスケープ・デザイン、もしくは賢治が詩集から言葉を拾い集めて「序」をつくった方法に似ているかもしれない。  世界観をきめる存在感のある仮面は、前述の「空耳散歩」でも走馬燈を制作した小日山拓也が、賢治の肖像写真から着想を得て木型を彫るところから制作している。また朗読には東京藝大院生の石橋鼓太郎がZOOM特有の心許ないクロマキー的輪郭の身体(現象)と共に、コロナ時代の視覚的記録として参加している。板坂記代子は衣装を越えた「布」、三宅博子には賢治の物語を読み解くヒントと音声で参加。この映像からライブ版への切り口を探っていく。  ちなみに演奏している太鼓は、賢治の詩「原体剣舞連」に登場するDah Dah Dah Dah DA sko Dah Dahのフレーズ、鹿踊り、そして岩手から太平洋を渡ったナバホ族のネイティブ・アメリカン太鼓、さらには歌舞伎のお囃子「序」を織り交ぜ円型図系譜で作曲後、ササマがひとりで6人分を演奏している。クッキー缶等も使っている。  コレクティブなアート活動はお互いの我がぶつかり難しいと言われているが、今回それぞれが自分の専門性を生かしながら、社会的キャリアや分野を越えて参加できたのは、ベースに横浜の福祉作業所カプカプ、芝の家に参加する「祭り仲間」であるという意識が大きい。今回の制作現場もどこか「祭り」のようであった。賢治も最期まで好きだったという「祭り」の力にも思いを馳せる時間となった。 さらに2021年度はこの「空耳図書館コレクティブ」をひとつの「団体」として、さらなる展開を計画している。
2021/03/30
【ご挨拶】突如はじまったコロナ時代もあっという間に1年が過ぎてしまいました。この期間を振り返ると、誰もが先が見えない中での創造力や想像力、何より即興力が求められたと思います。それらの力は芸術の根幹にもつながり、だからこそ「新しいかたち」が求められているとも感じます。「今まで通り」を守るための創意工夫、「新しい方法や考え方」を試す実験精神。日々の暮らしの中でも、この両極端の判断が求められたのですから尚さらです。  コロナは無かったことには出来ませんし、私たちは何とか知恵をしぼって生きていかなければなりません。過去の時間を紐解くと、同じような社会状況の中で作品を生み出してきた芸術家たちの姿も見えてきます。この春、空耳図書館コレクティブ映像でご紹介している宮沢賢治もまさにその一例です。芸術には人生の「光」だけでなく「闇」に向き合うことの大切さも教えてくれる。そこから自分とは何かを問うことは、大きな時代の変わり目にこそ考えたいテーマです。  2020年度は長期間にわたりオフィスが閉館となり、皆様にも大変ご不便をおかけしました。2014年コネクト設立以来、素晴らしい仲間たちと有機的にプロジェクトを進めてきましたが、ふたたび個人に戻ったこの期間に、2000年代の仕事がきっかけで映像作品やオンライン活動への活路が開けるという「禍転じて」の展開もありました。さらに遡り2011年の東日本大震災・原発事故から始まった芸術を問う思考実験の日々が、10年を経て再び個人の原点に立ち返るような体験をしました。まさに私自身が、芸術とは何か、オンガクとは何かを考えることで生かされてきたのだと実感します。  2021年度4月現在も世界は先行き不透明です。変異種ウィルスの脅威もワクチンの副作用も無視できません。しかし9月末にオフィスの更新期限を迎えることは決まっています。ここからの半年間でリアルに何が出来るかを模索しながら、10月以降のあらたな活動拠点・方法も検討に入りたいと思います。なお、代表ササマユウコ個人を中心とした活動は新しいかたちを発展させながら継続していきます。引き続き、ご注目ください。どうぞよろしくお願いいたします。(2021年4月6日)
【空耳図書館のはるやすみ2021 映像版公開】 宮沢賢治の心象スケッチ『春と修羅 序~わたくしといふ現象は』  東日本大震災・原発事故から十年目の節目となる本日、岩手出身である宮沢賢治の心象スケッチを言葉・身体・サウンドスケープに変えた 「ちょっと不思議な読書会 空耳図書館のはるやすみ2021映像版」としてお届けします。...
【コレクティブ制作メモ2021.02.23】...
【コレクティブ活動記録を公開しました】 空耳図書館コレクティブ① 言葉×身体×サウンドスケープ「わたくしといふ現象は 」...
【空耳図書館きのこの時間③】 実施 2020.10.14@明治神宮の杜 テーマ「内と外をきく」 推薦図書『きのこのなぐさめ』ロン・リット・ウーン 枇谷玲子、中村冬美訳 みすず書房2019 参考図書『まつたけ〜不確定な時代を生きる術』アナ・チン 赤嶺淳訳 みすず書房2019...
コロナの時代に新しく求められる音楽教育のヒントになれば幸いです。...
(写真左から) ➀『太陽と月 10人のアーティストによるインドの民族の物語』青木恵都訳(タムラ堂2017 TARA BOOKS) ②『世界のはじまり』バッシュ・シャーム/ギーター・ヴォルフ  青木恵都訳(タムラ堂2015 TAARA BOOKS) ③『天空の地図〜人類は頭上の世界をどう描いてきたのか』アン・ルーニー著、鈴木和博訳 (日経ナショナル・ジオグラフィック社2018)

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